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イタリアでの大失敗

イタリアは治安が悪いということを身にしみて感じていた丁度そのときに、私はとんでもない失敗をしてしまったのです。

実はローマの二日目は3つのオプションから選ぶことが出来たのです。
1.ナポリ・ポンペイ
2.ヴァチカン美術館
3.カンツォーネとディナーのコース

私はどうしても1.のナポリ・ポンペイを選びたかったのですが、子供達は本当はローマの街をもう少しゆっくり歩いたり買い物をしたかったりで、2.か3を選びたかったようだったのです。

結果的にはナポリ・ポンペイに行って本当に良かったと言ってくれたのですが、私としてはその時はちょっと悪かったななんて思ったりしていたのです。

だから、ポンペイから帰ってきてから少しの時間でもローマの街で買い物をさせてあげたかったのです。
ところが、バスが予定よりも30分も遅れて、夜の7時くらいになってしまいローマ三越が閉まるまでに30分しか時間が無くなってしまいました。

そのために、私がバスを降りるときに随分慌ててしまいました。
それで、一番してはいけない失敗つまり私の大切な物が入ったウエストポーチをバスに置きわ忘れてしまったのです。

息子が買い物をして、代金を払おうとした時に気が付きました。
財布を入れてあるウエストポーチが無いのです。
財布だけではありません。
デジカメ、携帯電話、スケジュール表、ペン、緊急連絡先…。

さすがに、パスポートだけはお腹に巻いていたので無事でしたが、そのベルトの感触とウエストポーチの感触がごっちゃになって更に気づくのを遅らせたのでした。

私は頭の中が真っ白になってしまいました。
もう、何をしゃべっているのか自分でも分からないのです。
%&○#▲ってかんじです。

そこで、しっかりしていたのは娘でした。
隣のホテルの受付のところに連れて行ってくれて、電話を借りてくれました。
自分のツアーの添乗員の松崎さんに連絡を取ろうとしたのです。
ところが何故か繋がらなかったのです。

それで、とりあえずさっきポンペイに行く時のガイドさんの辻本さんがこの近くに日本人の経営している「ミチコレストラン」というお店があるということを思い出しました。
そこのお店はおいしいし親切だと話していたことも思い出しました。
それで、そこへ行くことを提案してくれたのです。

娘はいつの間にかホテルの人と英語で話をしています。
そして、地図をもらい、そのレストランに印をつけてもらっていました。

私たちはその地図を片手に、道行く人にお店の方向を聞きながら走りました。
5~6人にも聞いたかもしれません。
ついに「ミチコレストラン」につきました。
窮地に陥った時に日本人に出会うことが出来て、その時の安心した気持ちは言葉で言い表すことが出来ないくらいです。

ミチコさんはとても親切な人でした。
ウエストポーチをバスに置き忘れたことを話し協力をお願いしました。
このお店を辻本さんに聞いたと話すと直ぐに、わかってくれました。
さっそく、お店の電話で「日本旅行」の緊急連絡先に連絡してくださいました。
とりあえず、調べてもらえることになりました。
そして、もう一度私たちの添乗員さんに連絡を取りました。
今度はちゃんと連絡が取れました。
しばらくそこで待つように指示してくれました。

ウエストポーチはちゃんと返ってくるかどうかは分からないけれども、バスの運転手さんに連絡を取っているとの事でした。
私はドキドキしてしばらく待つことにしました。

息子は「確かあのバスは、このあとカンツォーネに行く予定です。と言っていたから、きっと日本人ばかりだから誰も取ったりしないよ。きっと返ってくるよ。」と励ましてくれました。
その言葉がどれだけ私を励ましてくれたことでしょう。
私は、自分のした失敗に打ちのめされて最高に落ち込んでいた時だったのです。

ところが、夫は一言こういったのです。
「大体、昨日からお母さんは落ち着きがないわ。ちゃんと忘れ物がないか確認さなあかんのんちゃうの。」
なんということでしょう!!
人が苦しんでいる時にそれはないでしょ!!

子供達は、「お父さん、その話はまた後で。」といたって冷静。
だいたい、イタリアで道を歩く時は毎回私が地図を持って、夫はまったく地図も見ないで着いてくるだけ、なのに私が失敗したら協力もせずに文句を言ってブツブツ…。
と思うと私は怒りが爆発寸前。

しかし、怒っている場合ではない。
添乗員さんからもう一度連絡が入りました。
バスに乗っている人は今、カンツォーネのディナー中でバスにはたくさんの荷物が残されているので、どのウエストポーチが私のだかは確認できないとの事でした。

結局、ホテルに戻って待つことになりました。
ミチコさんにタクシーを呼んでもらうことになったので、
少しのお礼を渡してミチコさんに感謝してお別れしました。

タクシーに乗っても私はまだ、落ち着きを取り戻していなかったのです。
娘は、運転手さんにホテルを告げ、息子は私を励まし続けくれていました。
夫は…。

ホテルに着き、とりあえずシャワーを浴び待つことにしました。
約2時間後、ウエストポーチはついに私の手元に戻ってきました。
中身はちゃんと元のままでした。
私たちの添乗員さんが手配してくれ、バスをホテルの前で一時間近く待っていてくれたようでした。
添乗員の松崎さん、本当にお世話になりました。

私は、とんでもない失敗をしてしまいました。
しかし、ミチコさんや松崎さんの温かいサポートで大事にならずに無事楽しいたびを続けられることが出来ました。
辻本さんがミチコさんのお知り合いだったことも幸いしました。

また、娘が冷静に判断し私よりもよっぽど流暢な英語を話し、聞き的確な行動をしてくれました。
息子は、落ち込む私を励まし力づけてくれました。

子供達はお母さんが失敗したけど、そのお陰ではらはらドキドキの経験が出来てとても面白かったよ。と言ってくれました。

成長した子供達を見て、本当に嬉しかったです。
何だか、もう私が頑張り過ぎなくても良いんだと教えられた気がしました。
今回の旅は、楽しかったこと、感動したこと、恐かったこと、失敗したことなどいろいろな経験をしました。
その一つ一つが、私たちをちょっとだけ成長させてくれたように思います。
そして、私たち家族を今まで以上に強く結び付けてくれたような気がします。

一言付け加えておかなければならないのは、頭が真っ白になった時に緊急連絡先とホテル名が書いた紙を出してくれたのは夫だったそうです。
私はちっとも気づきませんでしたが(笑)

この旅を選んでよかった、
家族四人で旅行することが出来て本当によかったと思いました。









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